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過労死ラインに達しない残業で労災認定 サービス残業も考慮
「東京都立川市に本社を置く会社が展開するスーパーマーケットの店舗に勤務していた当時40代の男性社員が脳梗塞で死亡し、所轄の労働基準監督署が、長時間労働などが原因として労災認定していたことが、今月17日に分かった」という報道がありました。 社員が亡くなられたのは3年ほどの前のことですが、遺族側の代理人弁護士が記者会見を開き明らかになりました。 労働基準監督署が認定した残業時間は、最大で月96時間ほど。発症前2~6カ月の平均は最大で75時間53分で、過労死ライン(単月100時間、複数月平均80時間)には達していないとのことです。それでも過労死と労災認定されたということで、話題になっています。 その理由は、スーパー側のずさんな労働時間の管理にあったようです。 代理人弁護士によりますと、その店舗ではタイムカードを正確に打刻させず、早出勤務や終業後の作業をさせていたということです。労働基準監督署は、これらの実態から、タイムカードにより把握した月平均75時間以外にも、残業時間があったとして、労災認定したようです。今後、遺族側は、会社に対して、慰謝料など1億5,000万円と再発防止策などを求めるとのことです。 タイムカードなどには表れないいわゆるサービス残業については、社員が自主的に行うこともあるでしょうが、なんらかの強制がなかったかなどが問題となります。仮に、自主的なものであっても、会社には、労働時間の適正把握義務があります。結局、長時間労働が原因で社員に健康被害(最悪の場合、過労死・過労自殺)が生じれば、会社側の責任となるでしょう。 過労死ラインについては、政府が法制化を進めている時間外労働の上限規制でも度々取り上げられていますが、繁忙期の上限がほぼそのライン(単月100時間未満、複数月平均80時間以下)ということで、反対意見もあったところです。 上限規制は重要な問題ですが、それも、会社側が労働時間を適正に把握しているという前提で成り立つものといえます。今後は、サービス残業の廃絶も、より重要視されるかもしれません。 〔確認〕これまでにもお伝えしていますが、現在、厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定(今年1月20日策定)するなどして、企業にその徹底を働きかけています。 参考までに、このガイドラインのリーフレットを紹介しておきます。 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf
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