非正規と正規との間の不合理な待遇差の禁止 企業の36.0%が「見直しは特にしていない」(厚労省の調査)
厚生労働省から、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」が公表されました(令和4年11月25日公表)。この調査は、パートタイム・有期雇用労働法の施行後の状況を明らかにすることを目的として実施されるものです。
今回の調査は、全国の事業所から約29,000事業所、このうち5人以上の常用労働者を雇用する事業所で働くパートタイム・有期雇用労働者から約23,000人を無作為抽出し、令和3年10月1日現在の状況について実施されたものです(有効回答率は事業所調査で51.9%、個人調査で 57.1%でした)。調査結果のポイントは次のとおりです。
<事業所調査>
●企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況
パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業の割合は75.4%であり、そのうち「無期雇用パートタイムを雇用している」企業は51.4%、「有期雇用パートタイムを雇用している」企業は27.1%、「有期雇用フルタイムを雇用している」企業は23.2%となっている。
●パートタイム・有期雇用労働法の施行による待遇の見直し
正社員とパートタイム・有期雇用労働者の両方を雇用している企業のうち、同法が施行された令和2年4月(中小企業は令和3年4月)以降のパートタイム・有期雇用労働者と正社員の間の「不合理な待遇差の禁止」の規定について、これに対応し「見直しを行った」企業の割合は28.5%、「待遇差はない」とする企業の割合は28.2%となっている(合わせると6割近く)。
一方、「見直しは特にしていない」企業の割合は36.0%となっている。
なお、「パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直しを行った」企業について、見直した待遇の内容は「基本給」が45.1%と最も高く、次いで「有給の休暇制度」が35.3%となっている。
<個人調査>
●自身と業務の内容及び責任の程度が同じ正社員と比較した賃金水準の意識
「業務の内容及び責任の程度が同じ正社員がいる」パートタイム・有期雇用労働者の賃金水準についての意識は、パートタイム・有期雇用労働者計でみると「賃金水準は低く、納得していない」が45.0%と最も高くなっている。
●自身と正社員との待遇の相違についての説明要求の有無及び結果
令和2年4月以降(中小企業の場合は、令和3年4月以降)の自身と正社員との待遇の相違の内容や理由について、「説明を求めたことがある」パートタイム・有期雇用労働者は15.1%であり、そのうち「説明があり納得した」割合は79.7%である。
●今後の働き方の希望
今後の働き方の希望については、いずれの就業形態も「現在の会社で」「現在の雇用形態で仕事を続けたい」が最も割合が高くなっており、「無期雇用パートタイム」では 77.8%、「有期雇用パートタイム」では 69.7%、「有期雇用フルタイム」では 57.7%となっている。
他の調査結果を含め、詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和3年 パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況>
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/170-1/2021/index.html
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