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時間外労働の上限規制等の報告案で法改正の方向性まとまる

平成29年5月30日、時間外労働の上限規制について、同一労働同一賃金等についての会議がそれぞれ開催されました。 このうち、第135回労働政策審議会労働条件分科会では、これまでの審議を踏まえた「時間外労働の上限規制等の報告案」について審議がなされました。 【法改正の方向性についての審議会での内容レポート】 1.時間外労働の上限規制等 限度基準告示を法律に格上げし罰則による強制力を持たせる 〈原則〉 ○週40時間を超えて労働可能となる時間外労働時間の限度 月45時間、かつ、年360時間とし、違反には特例を除いて罰則を課す (1年単位の変形労働制(対象期間を3ケ月超の期間として定める場合のみ)は 月42時間、かつ、年320時間) 〈特例〉 ○臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合において も、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(月平均60時間)とする。 ○かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、 上回ることのできない上限を設ける。 ①2、3、4、5、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内 ②単月では、休日労働を含んで100時間未満 ③特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6回が上限 ※①②の休日労働を含んで複数月平均80時間以内、単月100時間未満の限度は、 特例以外の通常月にも適用 〈36協定の延長基準の対象期間の変更〉 「1日」および「1日を超える一定の期間は1か月及び1年間」に限る 1年間の上限を適用する期間の起算点を明確化する 〈現行の適用除外業種の扱い〉  ①自動車運転業務 〇改正法一般則の5年後に罰則付きで年960(月平均80)時間以内の規制適用 将来的には一般則適用 〇5年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で短縮策を検討する等、  長時間労働是正の環境整備を強力に推進 〇原則(月45時間、年720時間)に近づける努力が重要  ②建設事業 〇改正法一般則の5年後に罰則付きの一般則を適用 〇復旧・復興の場合は、単月100時間未満、2~6ヵ月の平均80時間以内は適用しない 〇5年後の施行に向けて、発注者を含めた関係者で構成する協議会で短縮策を検討する 等、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進 〇原則(月45時間、年720時間)に近づける努力が重要 ③新技術、新商品等の研究開発の業務 〇適用除外とするが、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術・新商品等の研究開発業務のみで対象を明確化して現行制度を超えた職種に拡大させない 〇健康確保措置として1週当たり40時間超の労働が、1月100時間を超えた者には、 医師による面接指導の実施を安全衛生法に義務付け、未実施の場合は罰則を課す   〇医師面接の結果、必要な事後措置の実施も安全衛生法に義務付ける   〇事後措置の内容に代替休暇の付与を加える ④厚生労働省労働基準局長が指定する業務(季節的要因により変動、公益上の必要等業務) 〇改正法一般則を施行日より適用 〇業務の特殊性から直ちに適用が困難なものは猶予について検討 ⑤医師   〇時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づき応召義務の特殊性を踏まえ対応   〇医療界の参加の下、検討の場を設け、2年後を目途に結論を得て、 改正法施行期日の5年後を目途に規制適用 〈労働基準法に基づく新たな指針〉 ○労働基準法に基づく新たな指針を定める規定を新設し、行政官庁はこの指針に関し、 使用者及び労組等に必要な助言・指導を行える(監督指導強化)  〇特例による労働時間延長をできる限り短くするよう努める旨を規定する  〇休日労働も可能な限り抑制するよう努める旨を規定する  〇36協定の必要的記載事項に原則上限超の労働者に講ずる健康確保措置を省令に規定  〇健康確保措置として望ましい内容を指針に規定   代償休日・特別休暇付与、健診実施、連続年休の取得促進、心とからだの相談窓口設置、   配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導、長時間労働の場合の面接指導、   深夜業の回数制限、勤務間インターバル等  〇改めて規定する事項   ①限度時間超の場合の割増賃金率は法定割増を超える率とするよう努める   ②労働時間を延長する必要のある業務区分を細分化すること 〈その他〉 ○上限値までの労使協定締結は回避努力が求められる  ○災害その他不測事態への対応は規制対象外(労基法33条)継続 (サーバー攻撃によるシステムダウン・大規模リコール対応等も含むことを明確化)  ○パワハラ防止強化・メンタルヘルス対策の新たな目標設定 2.勤務間インターバル制度  〇労働時間等設定改善法に勤務間インターバル導入を努力義務として新設   指針にも労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること等を追加 3.長時間労働に対する健康確保措置 過重労働による脳・心臓疾患等の高リスク者を見逃さないための対策  〇医師による面接指導   安衛法66条8の長時間労働に関する面接指導は、100時間超を80時間超に改正  〇すべての労働者を対象として客観的な方法による労働時間の把握を義務付け 4.法施行までの準備期間の確保  〇改正法の施行期日は、年度の初日からとする  〇中小企業を含め急激な変化による弊害を避けるため十分な準備時間を確保する 5.上限規制の履行確保の徹底  〇罰則付きの上限規制導入にあたり、実効性を一層確保するため併せて措置する   ①過半数代表者の選出をめぐる課題    ・使用者の意向による選出は手続違反であることを労基法施行規則に規定    ・監督指導等により適正運用の徹底をはかる ・36協定締結・届出なしでの時間外労働は法違反であることの周知徹底に取組む    ・使用者は36協定書を労働者等に周知する義務の徹底を図る  〇監督指導の徹底のため、労働基準監督官の定員確保、地方運輸機関等との連携強化  〇電子申請の促進   36協定書の届出等の行政手続きの簡素化・効率化を進めるため利用率向上させる   社労士の電子署名による代理申請の場合、委任状の添付等で事業主署名を省略の改正 労使それぞれの委員からは、実効性を持たせるための措置や監督指導を徹底すること、 また、事業者が対応できるよう十分な周知や広報の場を早めに設けてほしいとの要望が 出ていました。 審議会の議事や資料は、以下のURLよりご覧いただけます。 厚労省HP 第135回労働政策審議会労働条件分科会 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166324.html 第4回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165253.html

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