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ChatGPTなどの生成AIがもたらす経営と雇用の変化、対応のために必須となる人的資本経営~第一章~

2023/08/08

コラム

生成AIの普及とそれによる影響・人的資本経営

 ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な進化が、社会全体のビジネスプロセスと働き方を変えようとしています。今日、AIはクリエイティブな作業や高度な判断を要するタスクまでも自動化する能力を持つようになり、この流れは、企業の経営者が直面する課題を根本から変える可能性を持っています。

 様々な種類の生成AIツールが開発されており、活用方法が非常に多様であることが大きな特徴です。例えば、ChatGPTなどのツールでは、情報の対応や呼応、文章生成が可能となっており、業務効率化に大きな力を発揮します。さらに、Microsoftコパイロットのようなツールが登場し、ビジネス文書の作成が一瞬で可能になる可能性が出てきています。

 社内情報のストックや活用についても、LLMのオプトイン(自社への個別導入)型のモデルが登場しており、企業内の情報活用が劇的に向上することが期待されています。さらに、グラフィック系のクリエイティブコンテンツ作成においても高いレベルのツールが出現し、音楽や映像分野への波及が予想されています。

 筆者は人的資本経営や先進的な雇用系の対応についてコンサルティング・対応を行うことを専門とする組織コンサルタント・社労士ですが、生成AIが一般化する中で、企業や組織において、今までにない対応が必要なのではないかとの認識に基づいて、AI専門家と共に国外事例や先進事例の検討を行ってきました。結果として、生成AIの事業効率性の向上のためには、今までにない経営・人事管理上の工夫が必要であると考えています。

 このような状況の中、2023年3月期決算以降については上場企業において人的資本の情報開示が行われることとなり、多くの企業が人的資本経営の実施と開示準備を始めています。また、企業規模問わず社会的な注目も集まっています。

 人的資本経営とは、エンゲージメント、ダイバーシティ、育成、流動性、労働慣行、人事制度等を総合的に考え、事実を収集し、ファクトを分析し、中長期を見据えた人材戦略を立案し、実施し改善し続けることです。その目的は、変化の速い時代の中で、人の価値を最大限に発揮させることにあります。つまり、人的資本経営とはその目的からして、変化の速度を増し多様化する現代社会の雇用環境のための方法論なのであり、生成AIの普及と軌を一にするものであると言えます。筆者は、生成AIの普及において、現実的に人的資本経営の本質的な実施が企業規模問わず必要なものであると考えています。そのためにも、まず人的資本経営の方法論と基本的な知識は、企業経営に関わる上で必須の知識になっています。

 

執筆

松井 勇策(まつい ゆうさく)氏
社会保険労務士・公認心理師・WEBエンジニア
(人的資本関係の資格)GRIスタンダード修了認証 ISO30414 リードコンサルタント

フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表 https://forestconsulting1.jpn.org/ 

情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(専門:人的資本経営 雇用実務)
東京都社労士会 先進人事経営検討会議 議長・責任者 

早くから人的資本経営の実践・研究に取り組み、社会保険労務士としての実務知見を交え、多くの企業で人的資本経営の導入支援、セミナー等で人的資本経営の実務面にフォーカスした情報発信を精力的に展開。直近では、人的資本経営の基礎知識と実務に特化した初のWEB検定「人的資本経営検定 BASIC」を全面監修している。

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