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基礎年金の水準低下を緩和へ 厚生労働大臣が改革の方向性を示す
令和3年9月10日の田村厚生労働の会見が話題になっています。
今後の年金改革の方向性を示し、検討をスタートさせたいというものです。
内容は、次のとおりです。
●まず私から1点ご報告をいたします。年金の問題なのですが、かねてから私が問題意識を持っておりました、年金制度の中において基礎年金の水準が目減りしていくという問題があります。それはなぜかというと、マクロ経済スライドが発動されないことによって給付水準の調整が長期化するということで、年金の仕組み上、先に調整が基礎年金の方にいってしまうものですから、厚生年金の2階部分は逆に財政がよくなるのですが、基礎年金は悪くなってくると。こういうことがございまして、基礎年金のやはり水準がずっと悪くなってきたという今までの状況がございます。
そこで、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間を短くする、つまり厚生年金の2階部分と一緒にするという財政調整、これを必要だと以前から私申し上げてきたわけであります。これは、昨年の私の大臣就任以来、12月に社会保障審議会で追加試算、これに関してやってもらいました。そして公表いたしましたが、そういうようなことでかなり基礎年金の水準が上がると。
去年の試算で言いますと、2033年で(報酬)比例部分と基礎部分でマクロ経済調整が仮に終わるということになると、基礎年金は以前は2046年まで財政調整をしないといけない、マクロ経済スライドをかけないといけないということで26.5%が所得代替率の分でありますが、これくらいだったのが32.9%まで上がるということになります。
こういうことで、この方向性で年金局に検討させているところでございまして、是非ともそれを実現していきたいと思っております。具体的にはよく国民年金の水準が上がると思われますが、基礎年金の多くは厚生年金の部分でございます。
何が起こるかというと、厚生年金で所得が低い方々の所得代替率が上がるということになりますので、そういう意味では所得の再分配(の強化)のようなことが起こって、低い方々に手厚い年金に変わるということでございますから、非常に意味のある、そういう改革になろうと思っておりますので、是非ともそういう方向性で検討してまいりたいと思っております。
報道でも、国民年金(基礎年金)の水準低下を緩和するため、「厚生年金の一部を回す案もでている」とか、「厚生年金から財源振り分けことで実現させたい考えを示した」といった内容で取り上げられています。
早急に改革を行うために検討を急ぐということではなく、2024年の財政検証やその後の年金改革に向けた検討ということになると思われますが、経済界の反発も予想される内容ですね。
今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらです。
<田村大臣会見概要(令和3年9月10日)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00376.html
〔参考〕会見で述べられている追加試算はこちらです。
<第86回社会保障審議会年金数理部会(2020年12月25日)/厚生労働省追加提出資料>
https://www.mhlw.go.jp/content/000710902.pdf
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