育休で定期昇給させず 地裁で違法認定
「大学の男性講師が、育児休業を取得したことで定期昇給が認められなかったとして運営する学校法人に、差額の賃金など約166万円の支払いを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は、計約50万円の支払いを命じた。」といった報道がありました(平成31(2019)年4月24日判決)。
男性講師は、2012年から同大教職教育部で講義などを担当していましたが、2015年に9か月間の育児休業を取得。
男性講師は毎年4月に定期昇給していましたが、2016年は育休で「前年度に12か月間勤務」という給与規程の条件を満たしていないとして、復職後も昇給しなかったということです。
判決では、定期昇給は在籍年数に応じて一律に実施され、年功賃金的な考え方が原則であると指摘し、育児休業を取得した職員を昇給させないのはこの趣旨に反して違法と判断したようです(定期昇給で得られたはずの基本給や賞与と、実際の支給分との差額分の支払いを命令)。
育児休業の取得を理由とする不利益取扱いは、育児・介護休業法で禁止されています。
大学側は、この規定を知らなかったのでしょうか・・・
法令の無知が招いた争いといえそうです。
【確認】 労働者(男女を問わない)が育児休業を取得したことを理由として、不利益な取り扱いをすることは、育児・介護休業法10条で禁止されています。
この、不利益な取り扱いには「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」、「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」なども含まれています。
その他の禁止事由なども含め、次の資料の2ページ目でご確認ください。
<妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達について(厚労省)>
※無断転載を禁じます