「何故?」と聞く、マイナス効果
コンサルタント先の社長が部下にコーチングを行って、部下との関係が悪くなったそうです。
コーチングで、関係が悪くなるということはあるのでしょうか。
具体的には、どのようなコーチングを行ったのか聞きました。
業務でミスが重なったので、「何故、ミスが多いのか」と質問したそうです。
製造業では、トヨタ式と言って「何故」、「何故」と5回、繰り返して聞くという方法で、業務や製品改善を行うことはあります。
しかし、製品、機械、管理方式などのハード面に「何故」という質問を行っても良いですが、ソフト部分である人間に「何故」を使うと、トラブルの原因になります。
「何故」が トラブルの原因になるのは、何故か?
あ、私が「何故」と言ってしまいました。(笑)
人間に対して「何故」という言葉を使うのは、相手への非難、否定、拒絶の感情をこめて、質問することがあるからです。
例えば、パパさんは奥さんから「何故、こんなに給料が安いのか」と聞かれたら、カチンとはこないですかね?
自分を責められているように感じます。
では「何故」と言う質問がよろしく無いとすれば、人間にはどのように質問すれば良いのでしょうか。
「何故」の代わりに「何」を使います。
「給与が低い原因は何なのだろう」とか、
「何があったら、給与が高くなるのだろう」と、
パパさん本人にではなく、仕組みや方法などについて、焦点を移して質問するのが良いのです。
エニアグラムで、気をつけなければならないことは?
完璧主義のイチロータイプのタイプ1、感情が出やすいドラえもんタイプのタイプ2、スナフキンタイプのタイプ4は「何故」で相手を責めていることが良くありますので気をつけなければなりません。
サザエさんタイプのタイプ7は、無意識に口癖で、「何故」「何故」と聞いてしまいます。
サザエさんタイプが、無意識に「何故」「何故」と聞いてくるのは、「何」が理由か。
自分の頭が思考でいっぱいな時、自分への納得感、自己満足だけのために、相手や周りをよく見ずに、「何故」と聞いてきます。
例えばパパさんが「今日、傘を持っていく」と言うと、必ず反射的に「何故?」と聞いてきます。パパさんが傘を持っていく理由は、「空を見れば、曇っているから」なのですが、自分ではよく考えもせず「何故?」と軽く聞いてきます。
いかにも軽い「何故」を連発すると、イチロータイプのタイプ1や、ジャイアンタイプのタイプ8を激怒させるので、充分に気をつけなければなりません。
イチロータイプは、自分では「何故、こんなことも出来ないのか」と他人と自分を責めるのですが、他人から「何故?」と聞かれると大爆発を起こすので、絶対に言ってはなりません。
クライアントの社長は、「何故」という質問のマイナス効果を知らずに、 コーチングしてしまったのです。
執筆者
安村 明史(やすむらめいし)
ビジネス能力開発株式会社 代表取締役社長
一般社団法人日本コミュニケーション協会代表理事
本記事が掲載されている特集:エニアグラムコラム