2020/09/25(金) コラム
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iDeCoプラスのいっそうの普及に向けて
2020年6月5日に公布された年金改革法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律)を受け、2020年10月1日よりiDeCoプラスを実施できる企業の人数要件が100人以下から「300人以下」に引き上げられます。
iDeCoプラスは、企業年金制度(注)がない中小企業に勤める従業員が、老後生活資金の準備としてiDeCoを活用しやすくするための福利厚生制度と言えます。前回のコラム(iDeCoプラスへの期待)で記載しましたが、100~300人以下の企業でも企業年金制度を実施している企業は3分の1程度しかありません。企業年金制度を実施する事業主には、法令上のいろいろな受託者責任が課せられ、ハードルの高いものになっていますが、iDeCoプラスにはそうした責任がなく、ハードルが低いため、導入しやすい制度です。
(注)確定給付企業年金制度、企業型確定拠出年金制度、厚生年金基金制度を言います。以下、同じ。
下図のとおり、iDeCoプラスを実施する事業主は2020年7月時点で1,850事業主、事業主掛金の対象となるiDeCo加入者は12,119人と右肩上がりで順調に増加してきています。しかし、潜在的な市場の大きさを考えると、まだまだ成長する余地は大きいと言えましょう。
なお、iDeCoプラスは、「一定の職種」や「一定の勤続期間」によって加入範囲を限定し、また、「一定の職種」や「一定の勤続期間」ごとに事業主掛金の金額を決めることもできます。しかし、2021年4月からは中小企業にも「同一労働同一賃金ガイドライン」が適用され、パート労働者等への均衡待遇、均等待遇を義務付けられることを考えると、iDeCoプラスを従業員の自助努力を後押しする福利厚生制度とした場合、基本は、従業員(第1号厚生年金被保険者)全員を対象とし、事業主掛金は一律定額とすることが望ましいと考えます。
また、1階部分の基礎年金の給付水準が低下することに備え、2階部分である厚生年金保険への短時間労働者の加入義務化が、現在の従業員500名超から2022年10月に100人超、さらに2024年10月には50人超に拡大されます。これによって、中小企業の第1号厚生年金被保険者は増加し、それに伴いiDeCoプラスの対象者も拡大することから、自助努力(=iDeCo加入)を促す役割は、より一層大きくなっていくものと思われます。
(出所)国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」をもとに作成
執筆者
浦嶋 良日留(うらしま よしひと)氏
明治安田生命保険相互会社 法人営業企画部
日本証券アナリスト協会検定会員、DCプランナー1級試験合格、消費生活アドバイザー、日本年金学会会員
1962年大阪生まれ、1986年:神戸大学経営学部卒業、明治生命(現:明治安田生命)入社、その後、厚生年金基金の設立・保全業務(7年)、マクロ経済・金融市場の調査(経済企画庁出向含む)(8年)、企業年金に係る商品・企画(9年)、年金コンサルティング(4年)、DC運営管理業務(3年)、法人営業(2年)を経て、現在、法人営業企画部 審議役(団体年金企画)、日本レコードキーピングネットワーク㈱ 社外取締役。
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